green mist      ~あなただから~
 「酔いは冷めましたか? 夕べは酷く酔っていましたよ。ここまで連れてくるのに、大変だったんですからね。矢沢さんに、お詫びして下さい」

「ああ。そうだな……」

 確かに矢沢のお陰で、また、こうして香音と居られるのだから、今度、飯でもおごるか。


「朝食、食べられそうですか? 何か作りますね」

「うん。ありがとう…… その前に、ちゃんと話したいんだ。夕べ言った事は、酔った勢いとかではないから……」

「覚えているんですか?」

「当たり前だろ。ちゃんと考えて言った事だ」

「は、はい……」


「もう一度言う。僕と結婚してください。
 香音は、まだ若いし、やりたい事もあると思う。だけど、僕と一緒に生きていく人生も考えてみて欲しいと思う」

 香音の目をじっと見た。夕べ、オッケーをもらっているが、不安がないわけじゃない。


「私もずっと考えていました。自分がどうしたいのか? どうしたかったのか? 私は、真央さんと別れる時が来るんじゃないかと、不安だったんだと思います。
 だから、これから先を一緒にいる事を考えてもいいなんて、嬉しい…… 幸せ…… 」

 胸が熱くなるような前向きな答えをもらったんだと思うが、正直「はい」というYESの答えが無いと、やっぱり不安だ。


「僕と、結婚してくれる?」

 しつこいくらいに、もう一度聞く。


「はい」

 やっと、YESをもらえて、ほっとしたと同時に心が沸きだってくる。

 勿論、課題はあるが、一歩づつ進んでいけばいい。はじめから、完璧なんてないのだから……

 香音を抱き寄せ、キスをした。
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