green mist      ~あなただから~
 数日後、結婚の報告を両親にすると、勿論、一言、二言あったものの、意外にあっさりと受け入れられた。

「あなたち、これからが大変なのよ。やれるところまで、やってみればいいわ」

 母なりの、承諾の言葉なのだろう。期待はしていないが、見合いの事に詫びなどなかった。


 母が部屋から出て行くと、おやじが嬉しそうに、香音の手を握った。

「何をやっているんだよ」

 いくら父親とは言え、嫁の手を握るのは、やめてもらいたい。


「これから、よろく。母さんはあんなもんだ。気にしなくていいから」

「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」

 彼女は、手を握られたまま頭を下げた。

「真央。まあ、母さんには、母さんなりの心配があるんだ」

「ああ…… それより、手を放せよ」


「こりゃすまない。母さんにはなぁ、離婚歴があるんだよ?」

「はい?」

 俺は、自分の耳を疑った? 初めて聞く事だし。しかも彼女の前で言うか?
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