green mist      ~あなただから~
 ~七年後~


「ママー 花が、こぼしちゃったよー」

「ええっー」

 息子の翔真(しょうま)の声に、キッチンから振り向くと、娘の(はな)が服を、ビショビショに濡らして立っている。


「もう、また、植物さんたちのお水触ったのね」

「おみじゅ、欲しいって言ったの」

「そうなの。今日は、暑かったから、植物さんも喉渇いたのね」

 花の服を脱がせようとしたのだが……

「ママー おしっこー」

 翔真が、ジタバタしだした。


 もうー
 

 ピンポーン

「はーい」

 ドアに向かって返事だけをした。

「兄ちゃんだー」

 花が、水しぶきを飛ばしながら、嬉しそうにジャンプする。
 インターホンの画面を確認して、急いでロックを解除した。


「ああー ねえちゃん、花の着替え僕がやるよ」

「ごめんね、良介くん、助かるわ」


 翔真を抱えて、トイレに向かった。

 翔真五歳、花二歳。元気いっぱいの二人の育児に大奮闘中だ。

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