green mist      ~あなただから~
 男との間に植木鉢が無くなり、体が密着してくる。

「本当、あんた可愛いよな。車が嫌なら、ここだっていいんだぜ」


逃げようとするが、体が壁に追いやられてしまった。

 男の腕が、腰を掴んだ。


「いやっー」

 両手で男の腕を押しのけようとしたが、びくとも動かない。

 男の手に力が入った。男の手が段々とデニム上から、下の方へおりてくる。

 嫌だ。気持ち悪い。怖いよー


「助けてー!」

 思いっきり、大きな声を上げた。


 男の手が、乱暴に私の口を塞いだ。


「静かにしろよ!」

 男の手が、デニムのファスナーにかかった時。


「何やってんだ!」

 大きな声と、同時に男の体が離れた。


 はあ… はあ… 

 体がずるずると、崩れ落ちていく。


「ねえちゃん! ねえちゃん! しかりして!」

 良介くんの泣き叫ぶ声に、しっかりしなきゃと思うのだけど……

 男の人達が揉めている声がする。何がどうなっているのかも、見ることすら出来ない。


「もう、大丈夫だ……」

 誰かの腕に、支えられたのが分かる。

 時川さん……
 助かった……  

「香音! 香音!」

 薄れていく記憶の中で、うっすらと彼の顔が映って消えた……


< 44 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop