green mist      ~あなただから~
 「今回の事で、分かったのよ。倒れるなんて始めて。仕事以外に負担になっている事があるんじゃないかって。若い女の子に振り回さているようじゃ、真央もまだまだね」

「それは、どういう意味ですか?」


 自分の事を認めてもらえないのは覚悟していた。だけど、私と居る事で、彼までが否定されてしまうのは苦しい。

「あなたから見れば、真央は大人で、甘えられる相手だと思っているでしょ? でも、それは仕事の妨げになるの。勿論、あなただけの問題じゃない事は分かっているの。真央が、若くて可愛らしい女の子がいいと思うのも分かるわ。でもね、それは、一瞬の事よ。時間がたてば、飽きてもくるし、面倒くさくもなる。その前に、別れてもらいたいの」

 あまりにストレートな言葉に、返す言葉を見つける事が出来ない。


「えっ…… そんな事は分からないと思います」


「ふっ。分かるのよ。私は、事務所も守りたいし、弁護士である真央も守りたいのよ。あの子は、弁護士の仕事が好きなの。親の私が言うのもなんだけど、いい弁護士だと思う。分かって頂戴。勿論、あなたへのお詫びはきちんとさせて頂くわ」


「私も、弁護士である真央さんを守りたいと思ってまいす。だから、お詫びなんてなさらなくて結構です」

「ふぅー。人にはね、出来る事と出来ない事があるのよ。あなたに何が出来るの?」


 彼の母は、呆れたように言った。


「私は、真央さんの傍にいます。」


「甘いわね…… まあ、いいわ…… 真央も、お見合いをすれば、現実がわかるでしょう。言いたい事はそれだけだから…… 時間を取らせてしまってごめんなさいね」

 彼の母は、席を立った。


 私だって、正直もどかしい。母に言われても、確信をもって言える事が何もなかった。仕事の事では彼になんの力にもなれない。彼の母が、全て間違っているとは思わないし、経験上わかる事もあるのだと思う。

 だけど、お見合いなんて嫌だ。私より綺麗な大人で条件のいい人になんて、考えただけで苦しくなる。私は、真央さんが好きだ。真央さんじゃなければ駄目なのに…… 

 これは、私の我儘なのだろうか?
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