green mist      ~あなただから~
「やっぱり、家が一番落ち着くな。香音、今日は退院の手続きとかありがとう」

 真央さんは、退院してマンションに戻ってきた。

「そんなの、当たり前じゃないですか。それより、あまり無理しないで下さいね。今夜は何が食べたいですか?」

「そうだな、病院食じゃないものがいいな」

「消化が良くて、栄養のつくものにしますね」

「ええっ。それって病院食じゃないの?」

「お家で食べるんだから、病院食じゃないですよ」

「そっかあ。香音が作ってくれるなら、何でもいいよ」

「任せて下さい」

 右手を上げてガッツポーズをした。


「なあ、香音…… 何かあった?」

「えっ?」

 キッチンに向かった体を、ソファーに座っている彼に向けた。

「ちゃんと話してごらん」

「別に、何もないですよ。真央さんの事が心配なだけですよ」

 エプロンをかけながら、キッチンへ向かった。

「香音、こっちにおいで」

「もう、私も忙しいんですから」

 思いっきり水を出し、両手をごしごしと洗った。


 彼が立ち上がったのが分かった。私の方に向かって、近づいてきた。


「やっぱり、何かあったんだろ? 僕に嘘つけると思う?」

 ひぇー

 真央さんの口調は穏やかであるが、キラッと光る鋭い目が私を見ていた。
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