green mist      ~あなただから~
 「無理に理解しようするんじゃなくて、不安なんだって正直に伝える事も大事じゃない? もっと言うなら、結婚したいって言っちゃえば」

「そ、そんな事、言えるわけないじやない。彼に釣り合うには、もっと頑張らないと、認めてもらえないもの……」

「誰に認めてもらうの? 認めてもらうとかじゃなくて、お互いがどうしたいと思っているかでしょ? 気持ちを確認しあう事で、お互いを疑うような約束なんて必要ないじゃない。だいたい、あの弁護士の彼が、お見合いなんてするわけないでしょ…… 何も知らなくて、ホテルに行っただけよ」


「彼もそう言ってた…… だけど、お見合いしたと思ったら、どうにも気持ちがコントロール効かなくなっちゃって。私なんて、彼の隣にいるのが相応しくない気がして……」

「バカね、本当に彼が好きなんだね。香音さあ、相応しくないってよく言うけどさ、弁護士さんの香音を見る時の顔知ってる?」

「そりゃあ、見ているからね…… それが?」

「それが? じゃないよ。あんな愛おしそうな顔されたら、見ているこっちが恥ずかしくなるよ。だからだろうね。彼の母も焦ったんじゃない? 本気だって気づいたんだよ」


「そんな事は無いと思う…… だって、お母さん、今だけの一瞬の思いで、飽きてくる物だって自信満々に言ったのよ」

「バカね! そんな言葉真に受けて。動揺するのが狙いじゃないの。本当に香音は、純粋っていうか、バカっていうか……」

「バカバカ言わないでよ。でも、そうだね…… やっぱり、このままじゃだめだね。ちゃんと話しをしないと…… 会いたいな……」

 口にしてみたら、これが本音だった事に気付いた



 プルルルル……

 テーブルの上に置いていたスマホが震えた。画面を見て息を飲んだ。

「あっ」

「誰? もしかして、弁護士さん?」

「う、うん」

「早く出なさいよ」
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