2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「あがりました……」

私が浴室から出たとき、部長はソファーに座って携帯を見ていた。
それが妙に、絵になる。

「俺も入ってくるかなー」

そう言いながら今度は部長が浴室へ消えていく。
冷蔵庫を開けてみたらスパークリングウォーターがあったので、それを掴んでさっきまで部長が座っていたソファーに収まった。

「……あつ」

ごくごくと一気に、スパークリングウォーターを喉に流し込む。
つい、長湯をしたせいで身体が熱い。
これから、どうするんだろう?
まさか……。
そこまで考えて、期待している自分がいる。
でも、毎日同じベッドで寝ているのに部長は私に手を出してこないのだ。
ホテルだからって……いやいや、ホテルという非日常だからこそ?
しかし、そうだったとしても、彼がそうしたい理由がわからない。

「あがったぞー」

ぐるぐる考えていたら、部長がお風呂からあがってきた。

「少し飲むか」

「そうですね」

私が頷くと、部長はミニバーから赤ワインと、グラスをふたつ掴んできた。

「つまみがいるよな。
なんか取るか」

「じゃあ……」

私の隣に座った部長がルームサービスのメニューを開く。
それを横からのぞき込んだ。

……あ、近い。

部長からほのかに、同じシャンプーのにおいがする。
それだけでどきどきした。

「あ、アイス食べたいです。
チョコのヤツ」

「はいはい」

軽く返事をし、注文するために部長が立ち上がる。

「すぐ来るそうだ」

戻ってきた彼がまた私の隣に座り、つい少しだけ距離を取ってしまった。
気づかれていたらどうしよう。
不安で部長の顔をうかがうが、大丈夫そうだった。
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