2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
きっと私がいなくても、部長なら花恋さんとの結婚を断れるはず。
だいたい、それができるはずの部長が、そのために私と婚約者のフリをしようなんて提案してきたのが謎なのだ。

「ダメだ」

「でも」

「ダメだって言ったらダメだ」

なぜか部長がダメだと繰り返し、だんだんと腹が立ってくる。

「どうしてダメなんですか?
このままじゃさらに部長に迷惑がかかります」

「明日美が婚約破棄したら、アイツに結婚を迫られるだろうが。
どっちにしても迷惑がかかる」

「それは……」

確かに、花恋さんとの結婚を部長が断れるにしても、それなりに嫌な思いはするだろう。
でも、現状よりはずっとマシなはず。

「それに、こんな噂を流し、他社に情報を売ったヤツを見つければ、問題は解決だろ?」

「……は?」

ニシシと愉しそうに笑う部長を、思わず見上げていた。
この人はこんな状況でも、楽しんでしまうんだ。
そうだよね、会社を一流に押し上げて社長になるのが面白いゲームだって言うような人だもん。
この前向きさ、見習いたい。

「そう、ですね。
私も探します」

「ん、楽しくなってきたな!」

富士野部長を見ていたら、あんなに思い詰めていたのが莫迦らしくなってきた。
今は犯人捜しだけ考えよう。

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