2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「……!」

思わず、出そうになった悲鳴を必死に飲み込む。
おそるおそる振り返るとそこには、富士野部長が立っていた。

「わるい、遅くなった」

「富士野部長……!」

彼だとわかり、ほっと息をつく。

「話してくるからちょっと待ってろ」

私の肩をぽんぽんと叩き、部長は店の奥へと向かっていく。
私も慌ててそのあとを追った。

「おまたせ」

部長の姿を見て、みるみる生野課長が顔色を失っていく。
花恋さんはコーヒーをひとくち飲み、目を逸らしただけだった。

「こ、これは別に」

あちこちに視線を彷徨わせながらコーヒーを口に運ぶ生野課長の手は、動揺しているのか震えていた。

「もう調べはついているんですよ、生野課長」

逃がさないように彼の隣に座り、部長がこれ以上ないほどいい顔で笑う。

「今日一日、あなたの身辺の調査をさせてもらいました。
情報のリークと私の失脚で、他社への部長待遇での採用を約束されていたみたいですが」

「そ、そんな話、オレは知らない」

などと言いつつも、課長の視点は定まらない。

「残念ながらそんな話はないんですよ、なあ、花恋?」

部長から視線を送られ、びくりと花恋さんの身体が大きく震える。
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