2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
それにしても、広い家だ。
リビングダイニングだけで軽く、今住んでいるマンションの部屋より広い。
座っているソファーの向こうには暖炉まで見えた。
ライトブラウンの大きなソファーは革張りだし。
ほんと、富士野部長ってただの部長なのかな?
炭酸水を飲みながらぼーっと部屋の中を見ていたら、そのうち部長もシャワーを終えてきた。
濡れ髪を雑に撫でつけ、まだ上気した肌の彼は女の私なんかよりも色気がありすぎて、つい目を逸らしてしまう。

「紀藤さん」

「……はい」

促すように名前を呼ばれ、立ち上がる。
少し前を歩く部長に着いていった。
連れられていった部屋は当然、寝室だ。

「おいで」

広いベッドに座った彼が隣を軽くぽんぽんと叩き、優しく微笑みかける。

「……はい」

それに誘われるかのようにふらふらとそこに座った。

「本当にいいんですね?」

私の頬に触れ、眼鏡の向こうからじっと見つめている部長の瞳は、悲しみをたたえている。

「はい。
……お願い、します」
< 14 / 149 >

この作品をシェア

pagetop