2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「だ、だいたい、準一朗が忘れてるから悪いんじゃない!」

「え……」

緊張に耐えかねたのか、まるで小さな子供のように花恋さんが泣きだし、店内の視線が痛い。

「忘れたって、……なにを?」

「昔、一緒に遊んだとき、お嫁さんにしてくれるって言ったじゃない!」

「えっと……」

彼女に糾弾されて部長は必死で思い出そうとしているようだが、心当たりはなさそうだ。

「父に着いて準一朗の家に行ったとき、『大きくなったらお嫁さんにしてくれる?』って聞いたら、うんって頷いてくれたでしょ!」

「それって、何歳のときだ?」

「三つ!」

花恋さんは主張しているが、それは覚えてないかもな……。

「わるい、覚えてない。
……すまない」

真摯に部長が花恋さんへ頭を下げる。

「それに小さい頃、『お嫁さんにしてくれる?』って聞かれて頷けばみんな喜んでくれたから、なにも考えずに頷いていた。
それが誤解を与えたのなら、本当にすまないと思っている」

再び部長は花恋さんへ向かって頭を下げた。

「本当に悪いと思ってるなら、私を準一朗のお嫁さんにして」

軽く鼻を啜りながら、まだ目尻に残る涙を花恋さんが拭う。

「悪いがそれはできない。
俺は真剣に明日美を愛している」

強い決意の目で、部長が真っ直ぐに花恋さんを見つめる。
これは、彼女との結婚を断るための口実だってわかっていた。
なのに本気に聞こえて、心臓が一回、大きく鼓動した。

「そんなにその女がいいの?」

「ああ」

「そっか。
とうとう私、失恋しちゃった」

笑った花恋さんは淋しそうだったが、どこか晴れ晴れしているようにも見えた。
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