2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「俺を、好きな男だと思えばいい。
姿が見えなければ、想像できるだろ」

「……そう、ですね」

ちゅっと軽く、部長の唇が重なる。

「名を呼びたくなったら、その男の名を呼べ。
今だけ俺は富士野部長じゃなく、紀藤の好きなその男だ」

再び、唇が重なる。
さっきから部長は〝私〟ではなく〝俺〟と言っているが、もしかしてあわせてくれているんだろうか。
そういう気遣いが優しくて、部長に頼んでよかったと思えた。

私の唇を啄むように、繰り返される口付けがもどかしい。
つい、ねだるように甘い吐息が私の口から落ちた。
その隙を狙っていたかのように、彼がぬるりと侵入してくる。
そのまま、彼に翻弄された。
何度も丁寧に絶頂へと導かれた。
ぼーっとなった頭で、彼を迎え入れる。

「痛いか」

激しい痛みに耐えていたらそっと手が頬に触れ、目を開けた。
視界には酷く心配そうな部長の顔があった。

「痛い、です。
でもこれは、あの人を忘れるために必要な痛みだから」

精一杯、大丈夫だと笑顔を作る。

「……そうか」

短くそれだけ言い、部長は私の目をまた閉じさせた。
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