甘い災厄
「裏も表も、まつりは、まつりだよ」
「ふふ、どうしたのさ」
「どんなお前も、ぼくは大事。怒っても泣いても、笑っても、ぼくが憎いと聞かされたって、それで何も揺らがない。嫌いになることなんかないんだよ」
すべてを受け入れるってこと。
好きな相手になら、嫌いって言われても好きだ。そんなの、当たり前だ。
「きっと、好きって、そういうことだろう?」
「そう。昔にも言ったけど、自分に絶対的に従う相手なんか居ないからね。居たら、それは、もはや好意ではない何かが入っている」
そんなにいい子にして欲しいなら餌付けしてペットでも飼ってろと、まつりは昔、言ったんだっけ。
「その方が、偽物、とは言わなくても、少し怪しいよね……」
「だよな」
ふふふ、とまつりは笑う。ぼくは、じっとそいつを見た。きれいな目をしてる。
「離れていい?」
ひょい、とかわすと、そいつは退いた。
「近くにいるうちは離れていいけど、さ」
「え……」
「大事なものには、そもそも、徹底的なマーキングがしてあるに決まってるだろう?」
「どういう、意味?」
まつりは答えない。
にこっと、ぼくを見て笑う。
「いこうか」