捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
「それはともかく……ありがとうございます。今回の件は、わたしにも色々と考えるきっかけになりました」
魔力について…わたしは基礎的な最低限の知識しか無い。こんなふうに影響があるだなんて、微塵も知らずにいた。
自分自身の無知さが恥ずかしい。
アスター王子のパートナーとなるならば、もっともっと得ねばならない知識だったのに。
「あの、ソニア妃殿下。今さらでお恥ずかしいですが、わたしも魔術や魔力について勉強をしたいのです」
「あらあら〜それは嬉しいわあ」
にこにこ笑顔でソニア妃はわたしのベッドの脇にある椅子に座る。
「ミリィちゃんがそう言ってくれるってことは、アスターとの将来を具体的に考えてくれてる…って事よね」
「はい」
彼女の言葉にわたしはためらわず、素直に頷く。
「自分自身には無関係だから、とわたしは今まで魔術関連はすべてアスター王子に任せ過ぎでした。どうせ自分に魔力は無いから……と。自分にできる事は無いからという思い込み。それこそ、自分自身の怠慢でした」
侯爵邸での戦いでもそうだった。高位の魔術師がいた時、対応策を知っていればまだ取れる手段はあったはず。ブラックドラゴンの短剣が無ければ、きっと戦いにすら参加出来なかったに違いない。
これから、わたしとアスター王子だけでない。わたしたちは国王と王妃になる。自分自身の無知は自分だけの責任ではなくなる。
アスター王子との子どものことも…。
好きだとはっきり自覚した今は、なんだか照れくさく恥ずかしいけど。とにかく今はしっかり学ぼうと思う。その子どものためにも。