【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
(うーん…正直な話、ちょっと怖いなあ)
近衛騎士団の寮に戻る道すがら、ため息が出そうになった。
石畳の道中は警戒のために灯火が点けられある程度明るさはあるけれど、歩き慣れた道がなんだか地獄への入り口に思えてしまう。
アスター王子が待つ部屋へ行けば、少なくとも“練習”であるキスをせねばいけないだろうな。
逃げてきたわたしが悪い。だから、それは腹くくって覚悟を決めたつもりだけど……。
(……わたしが無知過ぎたのは理解できた。世間よりずいぶん幼かった事も認める。けれども、やはり婚姻前のそういった行為は慎むべきだ)
もしもアスター王子がそれ以上のことをしようとするならば、ぶん投げてでもみぞおちに拳を食らわせてでも止める。
ピッツァさんいわく、雰囲気に流されるのも悪くはないらしいけど……。やはり、婚姻前に子どもができるような行動は良くない。
わたし自身、まだまだ子どもだ。
他の新しい生命の親になれるほど、人間ができていない。
無責任に流された結果子どもができたら、どちらにも良くない結果になるだけだ。
(うん、そのために平常心だ!戦いに挑むつもりでいればいい。冷静さは騎士には必須だから)
平常心、平常心……とつぶやきながら部屋のドアの前に立った。