【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?



「やっぱり原因は睨んだ通りに井戸だったぜ。こんなもんが沈められてやがった」

高祖母様が手のひらに載せたものは、人形(ひとがた)。人の形に似せた木彫りのもので、高祖母様いわく古代語でわたしの名前が彫られているらしい。いわゆる呪(まじな)いの類だ。

「地下水脈まで利用されたのは想定外だったわ〜さすがにこれから気をつけるけれども」

ソニア妃がのほほんとおっしゃるけれども……確かに。井戸や湧き水の水源となる豊富な地下水脈は、あちこちに繋がっている。ゼイレームは湖沼が多い国だ。去年の事件に関わったユニコーンも、地下水脈を利用して移動していた。

「……ということは、地下水脈を使った攻撃も可能だった…ということですか?」

わたしが気づいたことを素直に口にすると、ソニア妃はすぐに肯定された。

「正直言えばそうね。地下水脈はゼイレームじゅうに繋がっているし、何なら他国にも繋がっている。一つの国だけのものではないもの。ここに大規模な攻撃をされたら、正直危なかったかもしれないわね……まあ、今は気づいたから対策はしておくわ」

(地下水脈……ユニコーンがいれば頼めたのだけど…)

今はユニコーンとアクアの間に生まれた子どもがいるけれども、さすがに仔馬には厳しいだろうし。愛馬の大切な子どもを危険にさらすことはできなかった。
< 447 / 619 >

この作品をシェア

pagetop