【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?

その日の夜、不思議な夢を見た。

深い深い水の中で漂うように、体がふわふわと浮いて流れて
いる。周りには光芒が無数に輝き、世界をキラキラと照らしていた。

(あったかい……なんだろう?すごく懐かしい夢のような気がする)

水なのに暖かくて懐かしく心地よい。流されるままに漂っていると、わたしのなかに“声”が響いた。

“……リュミエール”

「……えっ!?」

その“声”は、去年散々聞いた……ユニコーンのもの。

「ユニコーン…?まさか……でも」


ユニコーンは、アスター王子の弟であったアスタークを救うために命を捧げて消えたはず。それなのに、なぜ“声”が聞こえるの!?


すると、その“声”が、すべて話してくれた。

“ボクは、アクア母さんから産まれた仔馬だよ。母さんがすべて話してくれたから知ってる。ユニコーンだった父さんのことも”

仔馬の声に、ぐっと言葉が詰まってしまう。仔馬の父親であるユニコーンを亡くしたのは、人間のエゴが原因だ。
でなければ、未だユニコーンは生きて……仔馬と会えていたはずなんだ。


「ごめんなさい……ユニコーンが亡くなったのは、あなたから父親を奪ったのは、わたしたち人間の身勝手さが原因だ。だから……わたしが謝ったところで怒りは収まらないだろうけど……ごめんなさい」

わたしだとて、お父様が奪われたら……なんて想像するだけで嫌だ。しかも、自分のせいでなく他人の都合で身勝手に奪われたら。腹を立てたり恨まない方がおかしいよね。

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