【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?

「あああ…面倒くさい!」

このままアホな王子を護りながら戦うなんて不可能だ。予想どおりにレスター王子は自分の思うままに行動し、こちらの言葉や状況なんて一切構わない。

正直な気持ちこの場から今すぐ消えてほしいけれども、魔術で閉じ込められた以上は無理。
アホな王子とわたししかこの場に居ない以上、不本意ながら護るのはわたししかいない。
アホな王子はこれでも王族で、わたしはそれを護る近衛騎士団の従騎士なのだから。

だから、本当に本当に心の底から嫌だけど。自分の首に下がっているメダリオンのペンダントを外すと、やむを得ずレスター王子の首にかけた。
(アスター王子、本当に申し訳ありません!アホでも護るためですから)

「メダリオン…なんと!ミリュエール、やはり君はボクを愛して…無論、君はからの求愛を…ぶげ」

ちょっとやかましい口を、笑顔のまま短剣の柄で閉じさせた。

「…あのですね、あなたが勝手に動くからわたしが戦えないんですけど?この状況、理解してらっしゃいますか?愛だのなんだのほざいてる間にも、命が危ないんですが?」

こんな状況でも全くブレないレスター王子には、ある意味感心する。けれども、さすがにもう限界に近い。


第2王子でありながら国を裏切り、敵の甘言に乗せられ良いように利用され、国を危機に陥らせている自覚もない。

王子として生まれながらも、その血筋と地位に相応しいようより高みを目指し努力する他の王子たちを見てきたら、呆れすぎて言葉も出ない。
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