【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
「ミリュエール…なにを照れて、ひっ!?」
すぐ目の前に呪いの人形が出現して、レスター王子に襲いかかる。もはやそのまま放置したかったけれども、仕方なく短剣で斬ればそのまま消滅した。
『ミリュエール、今の感じから察するにその男に呪符が仕掛けられている。それを手放させねば、解呪できぬぞ』
どうやらブラックドラゴンは角で出来た短剣を通じ、様々な情報を得た様子。こうやって解決方法を授けてくれるのはありがたいし頼もしい。
「そうか、わかった。ありがとう、ブラックドラゴン」
やっぱり、レスター王子が呪物を持っていた。彼ならば害意もなく、高祖母様たちの結界を通り抜けてしまう。上手い利用方法を考えたものだけれども…。
少し気になることがあって、ブラックドラゴンに訊ねた。
「ブラックドラゴン、正直に教えて。今、城のなかはどうなっている?」
少しの間の沈黙。それは、何よりも雄弁に今の事態を物語っている。
『……ミリュエール、そなたの予想どおりよ。今、『瘴気の闇』が湧き出し、呪いに憑かれた人間が他の人間へ襲いかかっておる』
「…そう」
やっぱり、尋常ならざる事態になっていた。
呪いの中心になるレスター王子をここに閉じ込めた、ということは、この場から動かなさせないと同時に、解呪のためにレスター王子へ手出しさせないためだろう。
けれども、幸か不幸かわたしが同時に閉じ込められた。
ゆえに、わたしがどうにかするしかない。