エリート外科医と再会したら、溺愛が始まりました。私、あなたにフラれましたよね?
「ええ、そうなんです。高校三年のときに仲良くなって卒業したら会わなくなっちゃったんですけど、去年偶然再会して……この間メルディーに来てたんで私もびっくりしました。はい、どうぞ」

あっという間に食事を平らげ、空になったお皿を下げてお茶を差し出す。

「お、サンキュ」

なんか、こういうのいいな……夫婦みたい?

料理を作り、食後のお茶を出しただけでなんだか浮ついた気分になる。
相良さんの向かいに座ると、彼の背後に東京の夜景が広がった。

「由美、昔からすごい男子にモテてたんですよ。今でも全然変わってなくて彼女、美人ですよね」

浮ついた気分が顔に出ていないか誤魔化そうとして、まるで彼の反応を試すようなことを言ってしまった。チラッと視線をあげて相良さんの顔を窺ってみる。そして相良さんは「うーん」と目線を斜め上にあげた後、焦点を私に合わせた。

「ああ、そうだな。モデル並みに綺麗だ」

モデル並みに、綺麗……か。

もしかして私ちょっとショック受けてる? はぁ、馬鹿みたい。

由美は誰が見たって綺麗だよね。歳は同じなのに私とは全然違う。

余計なことを言ったと深く瞼を閉じようとしたそのとき。

「いたっ!」
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