可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「今日はお天気がいいので、星がよく見えますよ」
食器を片付けながら、仲居さんが教えてくれる。

「ここは周りに明かりがないですからね。星目当てで宿泊されるお客様も大勢いらっしゃいますよ」

「わー、ぜひ見たいです。お腹いっぱいで、少し動きたいし」

「ただ外はもうかなり冷えますから。クローゼットに丹前と足袋をご用意してますからお使いくださいね。懐中電灯は玄関にあるものをお使いくださいね」

 満点の星なんて、プラネタリウムでしか見たことがない。

 わくわくして表に出ると、そこかしこから虫の音が響いていた。

 部屋にいるときもかすかに聞こえてはいたけれど、音の大きさがまるで違う。

 気が急いて、早く明かりのない庭のほうに行こうとすると、「暗いから危ないよ」と宗介さんはわたしの手を取った。

 はじめて外で手をつないだので、彼の大きな手のぬくもりが新鮮で、胸がときめく。

 人目をはばからずに手をつなぐなんて、普段では考えられないことだから。
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