可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 ふたりでゆっくり、裏庭に向かう。
 遠方の林に目を向けると、真の暗闇が広がっていた。

 そして、見上げると……

  紺青(こんじょう)の空に、爪の先のように細い月と散らばる無数の星。

 これほど見事な星空は、はじめて観る。

「うわぁ……」

 わたしはそう声を漏らすと、しばらく無言で空を眺めていた。

 少しのあいだ、そのまま空を眺めていたけれど、わたしのくしゃみが、沈黙を破った。

「クシュン」
「寒い?」

宗介さんは握っていた手を離すと、今度は肩に手を回し、抱き寄せてくれる。

「もう部屋に入るか?」
「ううん、もう少しだけここにいたい。ほら、上見て。降るような星なんて、本当に初めて」

 彼はわたしの後ろに回り、全身を包みこんでくれた。
 わたしは彼の胸に頭を預け、また空を見上げた。
 
「綺麗……」
「流れ星も見られそうだな」
「本当」

 もし流れ星を見ることができたら。
 願いはひとつしかない。
 
 この人と生涯、共にいられますように。
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