可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「出口までお送りしますよ」
 社長はわたしと連れ立って、部屋を出た。

 廊下を歩きながら、社長はまた、誘いの言葉を重ねた。

「さっきの話ですが、わたしも軽い気持ちで誘ったわけじゃないですから。一度真剣に考えていただけませんか。会社改革を進めるために、今、新しい力を喉から手が出るほど欲してましてね」

「お気持ちはわかりました。こんなふうに熱心にお誘いいただけるのは、とても光栄なことだと思っています」

 自動ドアの前に立つと、大粒の雨が降り出しているのが見えた。

 ポーチでカバンから折り畳み傘を出しているとき、男性社員がひとり、駆け込んできた。

「あ、社長。お疲れ様です。今日、雨が降るなんて言ってましたっけ」
 そう言って、その人はハンカチでぬれた服を拭いている。

 聞き覚えのある声……

 そう思って目を向けると、声の主はやっぱり亮介さんだった。
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