可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「ま、いいや。座ろうか」
「はい……」

 彼に会うのをあんなに待ち焦がれていたのに。
 どうして素直にそう言えないんだろう。

 きっと知花みたいな子なら、「会いたくてたまりませんでしたよー」とか言って、可愛く甘えられるのだろうけれど。

 そんな芸当、わたしにはとてもできない。

「亮介さんは?」
「今日は来ない。用事があるらしくて」

 前回もふたりきりで食事したけれど、だいぶ間があいて、わたしのほうはぎこちなさが復活していた。
 
 でも彼のほうは、前よりも、なんだか余裕が感じられる。
 で、会話が途切れると、じっと見つめてきたりするから、よけいに居たたまれなくなる。
 
「この後、撮影ですか?」

 宗介さんの服装がいつもよりピシッと決まっているので、食事の後、仕事に行くんだろうと思い、そう尋ねた。

 でも彼は「いや、今日はもう終わったよ。それに明日はひと月ぶりのオフ」と、イスの背に体を預けて、大きく伸びをした。
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