可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 はじめて会った日の向井さんは、思いっきり“よそ行き”だったということがわかった。

 表情、話し方、斜に構えて腰をかけ、脚を組むその姿勢。
 こっちが本物の彼女なんだろうけど。
 マネージャーまで演技派とは。

 で、許して……くれるかな、わたしたちのこと。

 彼女が否と言えば、付き合うのはとても無理だと思う。
 祈るような気持ちで、彼女の答えを待った。

「向井がどう言おうと、俺は彼女と付き合うから。どうしてもだめだっていうなら……」

「『仕事をやめる』って言いたいんでしょ。まあ、昨今はなにかとコンプライアンスが取りざたされる時代だし、プライベートの交際までとやかく言うと、やれ俳優に人権はないのか、不当労働だ、とか文句言われそうだしね」

「じゃあ、OKってことでいいな」
 
 宗介さんがわたしを見て、笑顔で親指を上げた。
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