可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「まあね。でも条件つきよ、もちろん。わたしがいいと言うまでは、何があっても世間にばれるようなことはご法度だから。それはわかってるわよね」

「そりゃ、気をつけるけど……」
 向井さんは曖昧に言葉を濁す宗介さんを軽く睨んだ。

「いい? あなたをここまで育てるのに、どれほどの人が、どれだけ力を注いできたか、それを考えて頂戴。それからファンのこともね。あなたの仕事の重要な要素のひとつは『夢を売る』ことだから。ファンはみんな、あなたを仮想恋人と思っているから、テレビも映画も見てくれて、写真集を買ってくれてるのよ」

「わかってるって。まだ俺にはスキャンダルに耐えるほどの実力がないことも、百も承知だ」

「それがわかっているんなら、OK。橋本さんも肝に銘じておいてね。あなたの恋人はあなただけのものじゃないってことを」

 名指しされ、わたしは思わず姿勢を正した。

「は、はい。わかりました」
< 77 / 185 >

この作品をシェア

pagetop