可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「宗介さん、ありがとう。こんな素敵な宿に泊まるのは、はじめて」

「礼なら今度、向井に言ってくれ。すべて彼女の計らいだから」
「うん」

「とにかく、明日まではなにもかも忘れて、思い切り楽しもう」

 そう言うと、彼はわたしの顎をすくいあげ、音をたてて軽くキス。
 
「宗介さんは何時ごろに?」
「郁美とそう変わらなかったよ。道が空いていてよかった」

「ねえ、お部屋見てもいい?」

弾んだ声でわたしが言うと、宗介さんは「いいよ」と、わたしを抱きしめていた腕をほどいた。

 わたしはショルダーバッグをスーツケースの横に置くと、部屋を巡りはじめた。
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