可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 わたしに続いて彼が湯に入ってきた。
 そして、後ろにまわって、わたしを抱き寄せた。

 互いの素肌が直接触れあう感触に、身体の奥のほうがひそかに疼く。 
 彼の不埒な手が、わたしの胸を(まさぐ)りだす。

 先端をゆるゆるとさすられ、わたしは「ん……」とくぐもった声を漏らしてしまう。

 その声に、背中に感じる彼のものも敏感に反応する。
 
 久しぶりの感触に気持ちが高ぶり、抱きつきたくなって、彼と向き合おうとした。
 けれど、彼はわたしの動きを制して立ちあがった。


「明日まで、俺は郁美の〝しもべ〟だからな」
「しもべ?」
「ああ、姫にかしずく下僕だ。いつも一緒にいてやれない分、なんでもしてやる」
 
 その言葉通り、彼はわたしの身体や髪を洗ってくれた。

 指の動きがとても優しくて、美容院で洗ってもらう以上の気持ちよさだった。
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