可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 身体を拭くのも、バスローブを着せてくれるのも、髪を乾かすのも、すべて彼。

「本当になんでもしてくれるんだ」
「ああ」
「そんなこと、されたことないから変な感じがするけど……」
「けど?」
「すごく嬉しい」

 彼はドライヤーのスイッチを切った。
  
 鏡に映る彼は、わたしだけに見せてくれる、とっておきの甘い表情を浮かべていた。

「もっといろいろしてやりたい。郁美が可愛いくて仕方がないんだよ」

「宗介さん……」

「遠慮せずに甘えてくれればいい。こうしてふたりでいるときは」
「うん」

「頼りないか、俺じゃ」

 わたしは大きく首を振って答えた。
「そんなこと、ない」

 わたしは立ちあがり、彼の首に手を回して、口づけた。

「郁美からのキスは、はじめてだ」
 感慨ぶかげにそう言うと彼はやさしくわたしの背を撫でた。

 それから、膝裏に手を回して軽々と抱き上げ、奥の寝室に向かった。
< 98 / 185 >

この作品をシェア

pagetop