このキョーダイ、じつはワケありでして。




「ううんっ、えっと、挨拶…しておきたかったかなって…!でもそういうのじゃなくてね、大丈夫なの…!本当にごめんね…っ」



もう、だからそんなに気をつかわなくていいのに。

謝ることでもないし、咲良の優しさは誰よりも伝わってるし私がいちばん知ってる。


天瀬が来たことを知ってからさりげなく襖を閉めたのは、他でもなく兄だった。



「…ありがとう咲良」



また静かになってしまった空気のなか、無表情ながらに私たちの顔色を伺っていたのは取り残されたひとり。


彼も深くは探らないタチの人間。

心当たりがあって気になるはずなのに、あえて何も言わなかった。



「あ、そうだ、咲良からの巨峰あったよね。ちょっと休憩する?」


「そ、そうだねっ!わたしも手伝うよ…!」



空気が読めるふたりに感謝しつつ、咲良とキッチンへ向かって準備しようとした───とき。



「…ん?だれだろ」


「あっ!」



めずらしく咲良以外からインターホンが鳴る。



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