このキョーダイ、じつはワケありでして。
「うん。咲良ちゃんは友達以上だと思ってるよ、俺も慶音も。ありがとう」
すごい……。
私以外に兄ちゃんをそんな顔にさせられるなんて。
つまり兄は残りのふたりに対して言っていることになる。
「ただ俺が聞いてる友達ってのは、表面だけの綺麗事じゃなくて。なにを見てもぜったい裏切ったりしない、泣かせたりもしない……そーいうもののこと」
「────はい」
答えた彼はすごく、とくにいつも姿勢がいいんだ。
性格を表すように、まっすぐな軸がちゃんとある。
内面からにじみ出ているものがあるんだろうと、見るたびに何かを勉強させられる。
私はそんな天瀬 真幌に、中学の頃から憧れに似た気持ちも抱いていた。
「俺はいつも四宮にはいろんなものを学ばせてもらっています。それは成海さんの存在もきっとあって…でも、俺もそんなふうになれたらって……思うから」