このキョーダイ、じつはワケありでして。




「……それたぶん、カブトムシ1匹も捕まえられずに帰宅したときのです」


「あれ?でもなんか入ってない?」


「代わりにカマキリとかバッタとか、兄ちゃんが捕って入れてくれた…はず」


「あー、そうそう。虫ならなんでもいいかなって」


「ふはっ。俺お兄さんのそーいうとこ、ちょー好きです」



生まれる前や生後間もない写真というのは、どの家庭だって必ず大切にされているもののはずなのに。

どんなにページをめくっても、めくっても、いちばん古くて慶音が3歳あたりの姿から始まっていた。


そんなアルバムはどこか不思議で違和感がある。


いちばんはやっぱり───…顔が似てないんだよ単純に。



「この頃って、成海さんが14歳くらいのときですか…?」


「ん?ああ、そうそう。この制服の着崩し方でお分かりのとおり中二病真っ盛りね」


「…あの、その頃に……町で6歳くらいの男の子を助けたりしませんでしたか」



ずっとタイミングを伺って、ようやくだ。

義兄としてむず痒いったらない。



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