このキョーダイ、じつはワケありでして。




「うん、助けたよ。不良たちに絡まれてたよね、───ちびっこ天瀬くん」


「ですよね…、……えっ!」



今日は驚くことばっかりだ。

家に上がらせてもらった先で義弟に遭遇して、なんやかんや一緒に食事を取ったのは初めてだった。


でも何よりいちばんは、隠されていたボディーガードちゃんの過去。


ブラコンだと嘲笑って馬鹿にした自分を、殴りたくなった。



「覚えててくれたんですか…!じゃあ、前の授業参観のときも…?」


「うん。わりと覚えてるタチだから俺。まさかずっと昔に助けたちびっこが妹に踵落としてくるんだから、あれは腹立ったよ。まさに恩を仇で返しやがったってね」


「……あっ、す、すみません」


「ふっ、2度目はないから」


「…はい」



まさかすぎたよ、ほんと。

どう反応するのが正解だったんだろうって、平然としているようで実際は今も不安だ。


ねえ真幌。


このキョーダイの現実を前にしたら、俺たちの悩みなんてちっぽけだと思わない?



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