このキョーダイ、じつはワケありでして。




「その写真、気に入ったんですか?」


「え?ああ、うん。…いい写真だなって」



さっきの虫かごのやつ。

似てないよ、顔はぜんぜん。


でもしっかり繋がれた手に、どこを見て笑っているのか分からない小学生と、大泣きの小さな女の子。



「まさに…キョーダイって感じ」



やっぱりそれくらいしないと“きょうだい”にはなれないってことなのかな。

たとえ血が繋がっていなかったとしても、こうしてしっかり手をつないで、両親が居なくなってもずっと一緒にいるくらいの覚悟じゃないと。


それほどの偉大な愛情がなければ、ほんとうの家族にはなれないのだろうか。



「今日はありがとう慶音。楽しかったよ」


「…どうも」


「おい慶音。せっかく来てくれた友達に“どうも”はないでしょ」


「……友達じゃないもん」



こつんっと、兄から可愛らしく叱られた妹。

ふて腐れながらもどこか嬉しそうだった。



< 128 / 315 >

この作品をシェア

pagetop