このキョーダイ、じつはワケありでして。
「兄ちゃん、他にも私になにか隠してたりする…?」
「んー、どうかな。……知らないほうが幸せなことだってあるから」
「え…、まだ隠してることある…?」
「たとえば…俺がどれだけの人数を病院送りにしてきたか、とか?」
「……………」
だとしても、これだけは誓える。
どんな秘密があったって、どんなに大きなことが隠されていたって。
知ったとしても、知らないままだとしても、私が兄ちゃんを大切に思う気持ちはずっと変わらないって。
「兄ちゃん、慶音がハグしてやる」
「…して欲しいの間違いじゃなく?」
「そ、そうとも言うヨ」
たぶん甘えたいオーラを全身から醸し出していたんだろう。
察した兄は誰かさんが言っていたとおり、話の分かる男だ。
「ほんっと昔からあったかいよね。おまえって」
ちがうよ。
ふたりだからあったかいんだよ。
ぎゅうっと、大好きな胸と匂いに顔を埋めた。