このキョーダイ、じつはワケありでして。
「へえ~!3年に勝ったなんてスゲェな慶音ちゃん!!さっすが成海くんの妹!!」
「…普通だよ。ベスト8入りした1年もいるし」
「まったまた~!照れてるの知ってんぞー?」
「……おまえやっぱきゅうりだけね。海苔もナシ、米もナシ」
「ちょっ!うそうそ!ごめんって!そんなんしたらカッパになっちまう!!」
私とテツを見つめて、穏やかに瞳を伏せた兄。
襟足を残したハーフアップヘアー、耳だけにとどまらず口にまで幾つものピアス。
そんなルックスをしているテツは、一般的に見れば人が近寄らない見た目ではあるとしても。
『慶音、こいつはテツ。地獄みたいな見た目してるけど、実際はビビりでしょーもない奴だから怖がらなくて大丈夫だよ』
『しょーもないは言いすぎだろ成海くん…!あっでも俺ね慶音ちゃん、自慢じゃないけど猫にすら怖くて近づけねェんだ』
『……ふははっ!』
『…!!笑ってくれた…!女の子が!俺に!笑顔を…!!向けてくれた……!!成海くん成海くん!!なあ成海くんっ!!』
『…おまえ今まで女からどんな扱い受けてきたんだよ』