このキョーダイ、じつはワケありでして。
出会って5秒で打ち解けてしまったくらい、当初から楽しすぎる男が兄ちゃんの舎弟であり親友。
私だけが生き残ったから、お父さんとお母さんは私のことを恨んでいる───。
だんだん考えなくなるほど毎日が明るかったのは。
きっと、いやぜったい、テツのおかげでもあった。
「…テツ。おまえには感謝してるよ」
ぽつりと、私たち兄妹を代表して兄が言う。
首を傾げたテツは私たちの顔を交互に見つめてから笑った。
「俺、おまえら兄妹がすっげえ大好きなんだよ」
テツのお皿にそっと、いちばん大きかったエビを乗せてあげる。
照れくさくて言えなかった“ありがとう”の意味をこめて。
「……ねえねえ慶音ちゃん。これ、尻尾だけに見えるよ俺」
「気のせいだよ」
「俺の扱い雑すぎぃ…!!」
わざとらしく泣き真似をしてくるテツは、ぜったいに私のことをまだ11歳だと思ってるんだ。
つられたように私も笑った。