このキョーダイ、じつはワケありでして。




出会って5秒で打ち解けてしまったくらい、当初から楽しすぎる男が兄ちゃんの舎弟であり親友。


私だけが生き残ったから、お父さんとお母さんは私のことを恨んでいる───。


だんだん考えなくなるほど毎日が明るかったのは。

きっと、いやぜったい、テツのおかげでもあった。



「…テツ。おまえには感謝してるよ」



ぽつりと、私たち兄妹を代表して兄が言う。

首を傾げたテツは私たちの顔を交互に見つめてから笑った。



「俺、おまえら兄妹がすっげえ大好きなんだよ」



テツのお皿にそっと、いちばん大きかったエビを乗せてあげる。

照れくさくて言えなかった“ありがとう”の意味をこめて。



「……ねえねえ慶音ちゃん。これ、尻尾だけに見えるよ俺」


「気のせいだよ」


「俺の扱い雑すぎぃ…!!」



わざとらしく泣き真似をしてくるテツは、ぜったいに私のことをまだ11歳だと思ってるんだ。

つられたように私も笑った。



< 156 / 315 >

この作品をシェア

pagetop