このキョーダイ、じつはワケありでして。




「成海くん、」


「ん?…あー、……慶音、宿題おわってんの?」


「ううん、まだ」



楽しい食事を終えてのんびり食休みをしていると、テツが何かを言いかけるように兄の名前を呼び、なぜか空気はガラリと変わる。



「早くやってきな。ちょっと兄ちゃんはテツと大人の話があるから」


「ここでやる」


「テツみたいなうるさい男がいるなかで勉強に集中できたら、それはもう勇者だって」



それは否定しない…けど。

テツもテツで舌をぺろっと出して笑っていることから、ここはわがままが通らない証拠だと察する。



「…わかった」


「おお!成長したなあ慶音ちゃん…!!前なんか意地でも居座ってたのに!!」


「じゃあいる」



逆に子供扱いされたみたいで気にくわない。

せっかく立ち上がった私はすとんっと、ソファーに座り直った。



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