このキョーダイ、じつはワケありでして。
久しぶりに妹とゆっくりしたいと言ってくれて、準備してくれた手巻き寿司。
初めて仕事のことも話してくれて。
うれしかった。
すごくすごく嬉しかったのに……なんでこうなっちゃうの。
「私はもう…16だから。いつまでも兄ちゃんに世話焼かれてる子供じゃないよ」
「だったら学費に生活費、自分でぜんぶ出してみろ」
「っ、だから学校っ、やめて働くって…」
「それがガキだって言ってんだよ」
骨が折れなかったらいいほう。
もし折れた場合を見越して、利き腕じゃなくするためにも左手で歯向かう。
四宮 成海に勝てると思って向かうことすら無駄な足掻きなのだから。
「っ…!!……て、テツ、」
「…邪魔するなよテツ」
そんな私たちの打撃を全身で受け止めた、第三者。
「きょうだいは……仲良くしなきゃ…、いけません…」
─────バタン。
ごめんテツ、許して。
そういうつもりじゃなかった本当に。
また今度エビあげるから。
尻尾だけじゃなくて、身もちゃんと残してあげるから。