このキョーダイ、じつはワケありでして。
「ねえ、もういっかい抱きしめていい?」
「……は?」
「…じょーだん。じゃあまた明日ね、慶音」
いつもどおり別れて、いつもどおり最寄り駅で降車する。
昨日よりは寂しさが中和されながら、家路ではなく向かった先は反対方向にある小さな公園。
どうしようかと悩みながら歩いた結果、今日は公園の自販機に決めた。
「お小遣いも残り少ないし…」
兄から渡されるお小遣いは月に10000円。
今までは使うことは滅多になく貯金していたくらいだけど、最近は何かと出費が多い。
近所のファミレスやファストフード店へ行ったり、飲み物をちょこちょこ買ったり、さすがに空腹に耐えきれずコンビニで菓子パンを購入してしまったりと。
そんなことを毎日のようにしていれば、当たり前だけどお金は減っていく。
とうとう映画を観てしまった今日、当分のあいだは公園の水とブランコのみになりそうだ。