このキョーダイ、じつはワケありでして。




「………さっきからコソコソと、なにか用ですか」



だれも居ない公園は単純に危険だ。

この時間はホームレスが徘徊していたり、酒に酔ったチンピラが通りかかったりする。


試しにふっかけてみると、物陰から出てきた───3人。



「バレちゃった~。いやいや、かわいい子がいると思ってさ~」


「…………」


「ひとり?もしかして帰るとこないとか?それか…お金なかったりする?」


「…………」



すぐにブランコに座る私を囲うように出てきた。

住宅街の一角にある公園だとしても、街灯も少なければ目立ちもしない。



「さっきからずーっといるよね?」


「家出?お兄さんたちがご飯奢ってあげるよ」



お兄さんたち?

私には中年近いおじさんにしか見えないけど。


私がなにも答えなければ「しゃべれないのー?」と覗き込んでくるし、睨めば「なにその顔、生意気じゃね」なんて笑ってくる。



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