このキョーダイ、じつはワケありでして。
「……のに」
「んー?なんか言った?」
「消えろって言ってるんですよ」
邪魔なの。
邪魔なんだよ毎日毎日。
自分の家みたいに過ごして、ワケわかんない家具ばっか勝手に増やしてさ。
どうして私があんな扱いを受けなくちゃいけないの?
兄ちゃんも私をそこまで気にしてもくれないし、あんな女を好きになる兄ちゃんも兄ちゃんだよ。
いや、そもそも紹介したテツが悪いんだ。
大嫌い、みんなみんな。
「───うわっ!つめてえな!なにすんだガキッ!!」
手にしていたペットボトル。
半分以上残っていた甘ったるいミルクティーを、男の眼球めがけて投げつけた。
「てめコラっ、いっってえ…ッ!!!」
その隙に男の急所をおもいっきり蹴りあげれば、完全に私とそいつらは敵となる。
ご飯を奢ろうとしていた邪(よこしま)な優しさは、瞬時に殺意に変わったのだ。