このキョーダイ、じつはワケありでして。




「気色悪いから消えろって言ったんですよ。おじさん」


「こいつ…ッ、マジ殺してやる……!!」


「おいおい、おまえこんなガキにアソコ蹴られてダサすぎだろ」



どう見たって私は四宮 成海の妹でしょ。

こんなことを迷いなくやってのけてしまうんだから、私は兄ちゃんの妹なんだ。


すこし前、麻衣子さんにも「似てない」と言われた。


うるさい。
うるさいうるさい、うるさいんだよ。



「なんだこいつ!おいっ、スゲー戦ってくるんだけど!!ちょっと遊んでやろうぜ」


「あれえ?泣いちゃってるー?怖くなったのかなー?」



だって居場所、ないんだもん。
帰ってくるなって言われるんだもん。

むしろさっさと出ていけ、だ。


私の家のはずなのに他人の家に思えて、家に帰っても気が抜けない毎日。


私が死ねばよかったんだ───思いたくなかったよ、こんなこと。



「大人をナメんなよっ、と!」


「─────がは……ッ!!」


「あ、やべ。本気で入っちまったかも」



部活なんかじゃない。

これは殺るか殺られるかの実戦だった。



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