このキョーダイ、じつはワケありでして。




「ひぃ…っ!うぐッ!!」


「ご、ごめんなさいごめんなさい…!イテェ…ッ、おい助けてくれよぉぉ…っ」



私がずっと真似をしていた本家の登場だ。

なんやかんやこの人が誰かをいたぶっているところを見るのは初めてだった。


過去話として聞かされつづけたこれまでと、傷だらけの事後報告のような幼少期。



「つよ…すぎ……だろ」



あっという間に最後のひとり、再起不能。

私の周りに寝転がる男たちは、たったの今まで笑っていた男たちだ。



「いま何時だと思ってんだよ」


「…………」


「おいガキ。20時、過ぎてんだけど」


「…………」



わかってるよ。
でもそれどころじゃない。

この光景、ちゃんと見えてる…?



「反抗期?残念だけど兄貴にはそんなもの通用しないからね」


「…………」


「…立てよ慶音」


「…………」


「おまえの空手は守るためにあるんだろ。
…俺と同じになってどうする」



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