このキョーダイ、じつはワケありでして。




もしかするとその“つながり”は、血の繋がりよりもずっとずっと強いものな気がした。



『雨は、花や人を選んで降らない。太陽は、自分がお日さまを当てたい人だけに当てるわけじゃない。そういう心を持つことは素敵だとお母さんは思うなあ』


『でもそしたら、どんな人にも優しくしなきゃじゃん』


『それはもちろん大切なことよ。ただそこに成海と慶音にしかない特別な思い出が加わるだけで、あなたたちは血の繋がりなんか越えた本当の兄妹にだってなれちゃうってこと』



『にいちゃんっ』と言って、おれのほうに駆けてくる4歳になったばかりの妹。

見ているだけで不安になってくる動きで向かっては、すてんっと顔面から転けた。


『噂をすれば』と、穏やかに笑っている母親がそのとき助けに行かなかったのは。



『うっ、わぁぁぁんっ!!』


『もー、バカだよ慶音』


『しんだ…っ、けいとしんだぁぁぁっ』


『生きてるから。そしたらおまえ誰なの?』



こうして俺が当たり前のように手を伸ばすことを分かっていたからなのだろう───。



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