このキョーダイ、じつはワケありでして。




『お邪魔しまーす!!って、すげェ!!』


『おまえ遅すぎ』


『いやいや!まだ朝の6時だぜ成海くん!!』


『へえ。4時起きの俺にそれ言うんだ?』



マジぃ!?と、朝からうるさい。


いつもならイライラするから蹴りでもお見舞いするところだけど、今日は特別。

こんなふうに楽しくて賑やかな雰囲気を出してもらうためにあえてテツを呼んだってのもあった。



『あ。そのミートボール、国旗で串刺しにしといて』


『…成海くんが言うと怖ぇんだけど』


『はやく』


『あっ、おう!』



1ヶ月ほど前から揃えた雑誌たちがキッチン前のカウンターには散らばっていた。

それは俺が購入するには少しだけ違和感のある、若いママさん向けに作られた料理雑誌。


練習の成果を見せる本番は、もちろん今日だ。


ダイニングテーブルには型抜かれたチーズや海苔、なくさないように丁寧に保管しておくことがまずの第一関門ってとこだろう。



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