このキョーダイ、じつはワケありでして。




でも、今ここにある慶音と俺の笑顔だけは本物だから。



『惜しかったなあ…!まじギリギリだったよな!!あれはもう1位でいいって!!なあ成海くんっ!!』


『いや2位がいちばん格好いいから。2番とか伸びしろしかないし、よくドラマとかでも補佐的な立ち位置だし。能ある鷹は爪をなんちゃらってね』


『た、たしかに…!!いつも俺たちを狙ってきてた族の奴らも結局はアタマより2番手のが強かったもんな!!』



『にいちゃん、“ぞく”ってなーに?』と、かけっこ2位だった妹の純粋無垢でキラキラした目が見つめてくる。

俺はパシッと、今日は軽めに隣のうるさい男を叩いておいた。



『あいてっ!!』


『あははっ!テツ叩かれた!』



子供らしく笑っている妹と、ビクッと怖がってしまった幼なじみの咲良ちゃん。


どの家庭も主役を迎え入れては、わいわいお弁当を囲むお昼タイムだった。


もちろん慶音は俺とテツがいるビニールシートの上、紅白帽を首にかけてちょこんと座っていた。

くっ付けるようにすぐ隣には咲良ちゃん宅が揃っている。



< 236 / 315 >

この作品をシェア

pagetop