このキョーダイ、じつはワケありでして。
でも、今ここにある慶音と俺の笑顔だけは本物だから。
『惜しかったなあ…!まじギリギリだったよな!!あれはもう1位でいいって!!なあ成海くんっ!!』
『いや2位がいちばん格好いいから。2番とか伸びしろしかないし、よくドラマとかでも補佐的な立ち位置だし。能ある鷹は爪をなんちゃらってね』
『た、たしかに…!!いつも俺たちを狙ってきてた族の奴らも結局はアタマより2番手のが強かったもんな!!』
『にいちゃん、“ぞく”ってなーに?』と、かけっこ2位だった妹の純粋無垢でキラキラした目が見つめてくる。
俺はパシッと、今日は軽めに隣のうるさい男を叩いておいた。
『あいてっ!!』
『あははっ!テツ叩かれた!』
子供らしく笑っている妹と、ビクッと怖がってしまった幼なじみの咲良ちゃん。
どの家庭も主役を迎え入れては、わいわいお弁当を囲むお昼タイムだった。
もちろん慶音は俺とテツがいるビニールシートの上、紅白帽を首にかけてちょこんと座っていた。
くっ付けるようにすぐ隣には咲良ちゃん宅が揃っている。