このキョーダイ、じつはワケありでして。




『成海くんの連絡先おしえろコールやばかったぞ。だからどっかの離島にある歯医者の電話番号教えといた』


『ふ、ははっ!おまえ最高だよ』



とかやっていたら、また最後の2騎で倒されてしまった慶音チーム。


惜しかったね。
でも格好よかったよ。

あとで絶対に言おうと、言葉を浮かべる。



《ではこれより最後の砦(とりで)、6年生の組体操です!6年間の集大成をご覧ください!!》



パチパチパチと拍手喝采。

夏の終わりをイメージさせる緩やかな音楽は、すでに親たちの涙を誘う。



『やっぱあいつチビすぎない?埋まるだろあれ』



クラスの背の順でも微量差で前から2番目なんだって。

かけっこと騎馬戦に続いて、そこでも2番だとは。



『…………』



こいつはずっと2番なのかなって思ったら、いつか“2番目にしかなれない女”的な肩書きを背負う未来がやってきそうな気がして。

いい加減にしろと、架空の誰かを脳内で殴っておく。



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