このキョーダイ、じつはワケありでして。
『慶音ちゃんの顔見ればっ、絶対ぜんぶ大丈夫だから……!!』
『……死んでたら…どうすんの?』
『死ぬわけねえよふざけんな!!負けを知らねェ四宮 成海の妹なんだぞ!!ナメんなマジッ!!』
『わかんないだろ、あいつチビだし細っこいし……ベッドの上でさ、あいつまで顔潰れてたらもう…無理だって』
『うるせェ!!いーから行くんだよ…!!こんなこと言ってるあいだも慶音ちゃんは泣いてるかもしれねえだろ!!』
こいつは明後日あたりに半殺し確定だ。
おまえに何かあったとき、いつも守ってやったの誰だと思ってんだよ。
たどり着いた保健室。
震える手でドアを開けると、真っ先に飛んできた。
『────にいちゃん……っ』
石ころが飛んできたような力なのに、俺の腰に回った腕はきっと、俺より強いものだ。
たったそれだけで生きていると、俺に教えてくれた。